語り継ぎたい存在価値 Vol.14

語り継ぎたい存在価値。
今回は、PP130 サークルチェアをご紹介いたします。

120220_1.jpgハンス・J・ウェグナーがデザインした、1986年にPP Mobler(モブラー)社で生産が始まったチェアです。

120220_2.jpgフラッグハリヤード1本を切らずに編み込んでいます。
丸いフレームにピンと張られたロープが美しい。
結び目をつくらず金具で留めることで、背中に違和感を感じないように工夫されています。
ロープが背中に馴染み、なんとも気持ち良い。
ロープとアッシュの木地がやさしさを醸しだしています。

120220_3.jpgサークルチェアのスケッチ図面は、すでに1960年代に書かれていたようですが、
その当時は技術的にもアルミパイプ製のリング状のフレームを使用する方法しかなく、
ウェグナーは納得ができずに、その時点で商品化を見送ったそうです。

120220_4.jpg商品化が実現されたのは、PPモブラー社で、薄い板を重ねて高周波を使い接着するラミネート工法が、考案されたから。

120220_5.jpgハンス・J・ウェグナーとPPモブラー社は、デザイナーと職人が
全く対等の立場で意見を出し合い、お互いにアドバイスをする。
このような関係から、名作といわれる椅子が沢山生まれています。
この椅子も職人の協力なしでは実現しなかったチェアです。
新たな技術への挑戦と、誇りと拘りから誕生しました。
そんな思いで座っていただくと、また違った気持ちが生まれるのではないでしょうか・・・。

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