Vippというラグジュアリーなダストボックス

 

「vipp(ヴィップ)」はデンマークの歴史のある老舗メーカー。

1939年デンマークのホルガー・ニールセンによって創設されました。

vippの物語は、1931年春のある日曜日、当時17歳だったホルガー・ニールセンが、

サッカーくじで自動車が当たった事から始まりました。

ホルガーは自動車は好きでしたが、運転免許証を持っていませんでした。

そのため彼はその車を売り、金属旋盤機械を購入する資金に充て、

それをもとに金属工場をはじめました。

それが、数年後に世界的に有名になるvippというゴミ箱を誕生させた、

ホルガーの金属工場の始まりでした。

1939年、彼は彼の妻からの依頼で、彼女が新しくオープンさせる美容院で使う、

ペダルでふたが開くゴミ箱を作りました。

その美容院へやってくる歯医者やクリニックの奥様がそれを見て、

同じゴミ箱が欲しいという多くの要望を受け、

ホルガーは本格的にふた付きペダル式ゴミ箱の製造を開始したのでした。

ホルガーは職人でしたが、デザインにも関心を持っており、

「デザインに関心の高い人々は国境を越えた共通の美意識を持っている」と信じ、

vippをデザイン性と機能性の両方を兼ね備えた商品に仕上げました。

部品の製造から塗装、組立に至るまで、熟練の職人により全ての工程が手作業で行われ、

1個の製品が出来上がるまでに10人の職人の手を渡り完成されます。

まず、フタのフチをラバーにすることで、金属同士のぶつかる音もなく、

ゆっくり静かに閉じます。

生活音がない、心地よさ。こういう気配りのあるデザインもうれしいポイントです。

中には、ロール状になったトイレットペーパーのような、ピッタリサイズの専用ゴミ袋

「ビンライナー」も入っています。

また、ゴミ箱の中は専用の取手付きのバケツが入っており、

バケツは外して洗うこともできるので、長く清潔に使い続けることができます。

バケツに袋を着せるので、袋がはみ出て見えることはなく、袋の取り換えも簡単で、

外観も損ないません。

製品にはコンセプトブックも付属していて、その歴史や品質へのこだわりがしるされています。

ペダルビンのみならず、その他のアイテムもどれも秀逸で、

「インターナショナルデザインクラシック」との呼び声の高い、

伝統を受け継いだ高品質でホテルライクなラグジュアリーコレクションです。

 

ホルガーの後は、娘のイェッテが継ぎ、その2人の子供たちも工場を手伝いました。

幼いころからVippを見てきた彼女は、もっと多くの方に届けるべきだと考え、

Vippを片手に北欧のインテリアショップやデザインショップを巡り、

コンランショップのパリとロンドン店での取り扱いに成功し、2011年12月には、

コペンハーゲン中心部に、最初のVippコンセプトストアを構え、

Vippは世界中に広まっていく事になりました。

完成から50年以上、ホルガーによってVippと名付けられたふた付きペダル式ゴミ箱は、

デンマークの美容院、歯医者や病院などにしっかり定着しています。

ふた付きペダル式ゴミ箱は、現在でも開発された当初からの形や素材がほとんど

変わっていないのも、すでに、開発の時点で完成されていたということではないでしょうか。

今日では、vippのミニチュアバージョンがデンマークのデザインセンターに、

そのほかの有名な美術品とともに展示されています。

また、国際的にもデザインクラシックとして認められており、

2009年にはMoMAの認定を受け、ニューヨーク近代美術館(MoMA)の

永久収蔵品として展示されております。

 

ステンレススチールの仕上げの美しさ、細かなこだわりと品質の高さが、

今も世界中で人々を魅了し続けています。