J39 シェーカーチェアから生まれた家具

早4月!

インスタは毎日更新しているのに、ブログは久々の更新ですみません(汗)

今回は、J39チェアについて書いてみました。

 

 

この椅子をデザインしたボーエ・モーエンセンは、1914年デンマークに生まれ、1934年に家具マイスターの資格を得て、

家具職人としてのキャリアをスタートさせました。

1942年からはデンマーク協同組合連合会(FDBモブラー)の家具部門の開発責任者を8年間務め、その後独立。

自身の設計事務所を設立し、ハンティングチェアやスパニッシュチェアなどを発表しています。

同時代の親友ハンス・J・ウェグナー(Hans Jorgensen Wegner)と共に、刺激し合いながらデンマークデザイン界を

けん引していきました。

 

 

ボーエ・モーエンセンの信念は、FDBの理念にも通じる「シンプルかつ実用的な家具を、リーズナブルな価格で提供すること」。

また、「家具は人を幸せにする」という信条をもとに、庶民や若者も買える、安価で良質な家具作りを意識していました。

それにより、大衆視点のデザイン、不必要な部分には高級材を使わず機能美を追求したチェアやテーブル、

収納家具を数多く残しています。

また、シンプルで堅実なデザインが特徴的なモーエンセンの家具は、デザインだけではなく、人間工学に基づいた設計がされ、

居心地の良い家具ばかり。家具を通してデンマーク国民の生活の質の向上に貢献しました。

 

 

さて、このボーエ・モーエンセンの代表作であるJ39は、職人が一点一点つくる家具か、粗悪な家具が主流だった、

まだデンマークが貧困だった時代に、デンマーク生活協同組合(FDB)より、「一般市民のために、安価で、

質の高い椅子を作って欲しい」という依頼により、庶民のための椅子として1944年にデザインされました。

デンマーク国民の生活の質を向上するという目的で立ち上がったこのFDBという組織により、デンマークは今や

「世界一豊かな国」と言われるまでになったと言っても過言ではありません。その一端を担っているボーエ・モーエンセン。

すごい人ですね。

 

この、J39をデザインするにあたりモチーフとしたのは、アメリカ・ニューイングランド地方で18世紀後半~19世紀にかけて

作られた、シェーカー家具の椅子。厳格なシェーカー教の教えである「すべてにおいて簡素であること」に基づいた、

実用性と優美さを兼ねたシンプルで美しいフォルムを参考にしつつ、さらに細部にまでデザインを突き詰め、無駄を省き、

良い緊張感を持った椅子に仕上がっています。

 

 

また、製作のコストパフォーマンスを抑えるために椅子のパーツを最小限にし、4つのパーツ(脚・背・座面・貫)から構成され、

形状的にも角度をつけない直線を多用することで、加工や組み立てという工業的な作りやすさも実現しています。

 

 

座り心地という面でも、無垢の大きな背板は、曲木によりカーブが形成され、背骨に気持ち良くフィットし、

男女問わず安心して身体を預けられます。

だからといって、ゆったりとくつろぐ、という椅子ではなく、直線的なデザインだからこそ、背筋が伸び、

姿勢良く座れる椅子になっています。

お尻をフィットさせている座面のペーパーコードも、使うほどに身体のラインに合っていき、強度と軽さも実現してくれています。

 

 

「美は有用性に宿る」

「規則正しいことは美しい」

「調和には大きな美がある」

「言葉と仕事は簡素であること」

 

 

ミニマリストのような生活をし、家具さえも自分達で製作して暮らしていたシェーカー教徒。

この言葉に表れたシェーカー教の思想は、日常生活においても、心掛けたいと思える言葉でもありますが、

デザイン的なインスピレーションだけではなく、このJ39という椅子への、ボーエ・モーエンセンのアプローチ自体にも

通ずるものがあるような気がします。

(今も博物館として残る、アメリカのボストン郊外にあるシェーカー教村、行ってみたいです。)

 

 

当初、FDBで製作されていたJ39ですが、現在はFredericiaに引き継がれ、発表から70年以上たった今でもなお、

生産し続けられています。

飾らずシンプルなデザインのJ39 チェアは、時代が変わっても、様々なスタイルの空間に馴染み、

これからもスタンダード1脚として、受け継がれていくでしょう。