PP58/68チェア ~ラストダイニングチェア~

2月ももう終わりで、明後日からはもう3月!

少しづつ気温も高くなってきているような気がしますし、春が近づいてきていますね!

3月は別れと出会いの季節(と、思っている)。

素敵な出会いに期待して、3月も引き続きよろしくお願いします!

という訳で(どういう訳だ?)、今回も素敵なチェアを紹介したいと思います。

 

今回紹介するPP58/68チェアは、前回のブログで紹介した、Yチェアのデザイナーでもあるハンス・J・ウェグナーが

最後にデザインしたダイニングチェアと言われており、それまでにデザインしてきたチェアのいいところを取り入れて

デザインした、集大成的なチェアです。

PP58は座面が革張り

 

「PP58/68 ダイニングチェア」このチェアはもともとウェグナーによって、DSB(デンマーク国有鉄道)が就航する

フェリーのための椅子としてデザインされました。しかし、最終的にウェグナーの別モデルPP208がフェリーには採用、

その後、PP58/68はデザインの改良を進め、1987年に改めて製造を始めたのです。

 

 PP68は座面がペーパーコード

 

このチェアを製作しているPPモブラーは、1953年に小さな工房からスタートしたデンマークの家具ブランドです。

創業者は、家具職人のペターセン兄弟(二人の頭文字「P」がブランド名の由来)で、創業以来、高品質なデザインの家具を

作り出すというゆるぎない伝統を持っています。

 

 

その根底に常にあるのは、木に対する愛情です。

PPモブラーで使用される木の大部分は、デンマークとドイツの持続可能な森林から採っています。違法伐採されたような

木材は使わず、家具に使う木は根から取り、またそこへ盛り土をして新しく植樹し森を育てるという循環を繰り返し、

環境にも配慮をしています。これは、木と仕事をするPPモブラーにとっては、倫理基盤の不可欠な部分です。

 

素材となる木に対して敬意を持っているからこそ、無駄に使わず、常に革新的な取り組みをし、妥協を許さない手仕事、

技術や発想に繋がり、より質の良いものを生み出そうとする姿勢が、高品質の家具を作る続ける職人たちの工房と

言われる所以ではないでしょうか。何世代にも受け継がれ、日常使いにも耐え得る、美しさと機能を兼ね揃えた家具を

作り出す工房、それがPPモブラーです。

 

 

このチェアをデザインするにあたっての出発点は、シンプルさ、耐久性、そして機能性でした。フェリーの客室用としての

チェアだったこともあり、様々な人が座っても簡単に壊れないような強固な作りと、短いアームがテーブルの下に

もぐりこむような機能性を兼ね備え、シンプルにチェアを作ることをひとつの要素としてデザインしました。

 

ウェグナーのチェアは、特に後期に向かって言えると思いますが、「機能美」という言葉がしっくりきます。部材同士が

接合する部分のおさまり方が、強度も考えているのにそれを感じさせず、シンプルで美しく、どの角度から見ても違和感なく

スッと目に入ってくるのが心地いいです。

 

 

 

座り心地も抜群で、背もたれの幅が広いため、背中のあたり具合が良く、こだわった背もたれの角度も、きっちりと

背筋を伸ばして座りたい角度と、少し体制を崩したリラックスした角度のどちらにも心地よいように計算された

デザインになっています。

ウェグナーは、PP58/68をデザインしたことで、今まで以上にダイニングテーブルを囲んだ長く心地よい夕食のひと時に

ぴったりな、快適で座り心地のよいダイニングチェアを作りだしたのです。

 

 

500脚以上のチェアをデザインしたウェグナーの集大成ともいわれるこのPP58/68チェア。

ぜひ試す価値ありです。