語り継ぎたい存在価値 Vol.12

語り継ぎたい存在価値。
今回は、生活の中心、ダイニングの中心にあるテーブル、「ESSAY TABLE(エッセイテーブル)」をご紹介します。

111021_1.jpgデザインしたのは、北欧モダニズムの手法を受け継いで数々の国際的な賞に輝き、
またデンマークデザイン賞を2度も受賞しているデンマーク人デザイナー、セシリエ・マンズ。

111021_2.jpg彼女は、夫と2人の子どもとの暮らしについて話し、このテーブルへの想いを語る。
「私たちは4人家族で、いつも4つのことが同時進行しています。
人は、他の人が楽しそうに何かをしているそばにいたいと思うものです。
それなら、みんなが集まって別々のことができるテーブルを作ろうと思いました。」

111021_3.jpgフリッツ・ハンセンと彼女とのコラボレーションは、2007年5月にスタート。
テーマは個人ユーザーのための大きめのテーブル。
家の中で使うものということが、セシリエの興味をそそった。

111021_4.jpg1枚の天板と2つの脚部という3つの要素だけで構成されているため、
シンプルかつニュートラルで、優雅さとフレキシビリティを併せ持つ。
天板と脚の間に1枚黒い板を入れることにより、
しっかりとした天板が、フレームの上に浮かんで見える。

111021_5.jpg「必要のないものを最大限に省いた、シンプルな家具が好きです。
ただし唯一、デザインで遊ぶことのできた脚部には、いろいろな要素を凝縮しました。
その一連のディテールに、私はとても満足しています。
また、このテーブルの丈夫さも強調したい。
素材は木なので、汚れたら磨けばいいのです。
このテーブルなら、あなたの人生の残りの時間をずっと一緒に過ごせます。
もし望むなら、子供に受け継いでもいいでしょう。」と。

111021_6.jpgオーク、アッシュ、ブラック・アッシュ、ウォルナットといった木材の豊かな素材感も、
落ち着いた家庭的な雰囲気を引き立たせる。
50年以上も前のデザインのセブンチェアも、最近発売されたNAPチェアも
このエッセイテーブルの美しさを引き出す。
タイムレスなデザインも、フリッツ・ハンセンが大切にしていることの一つ。

111021_7.jpg彼女が家に帰ってから、このエッセイテーブルで、家族と過ごす時間を大切にする。
テーブルの片隅では子どもたちが紙に絵を描き、テーブルの真ん中では皿を並べ、
一方の端では、コンピュータのキーを打っている。
または4人が、それぞれ全然違うことをしているかもしれないが。
そんな光景を想像せずにはいられない。