語り継ぎたい存在価値 Vol.7

語り継ぎたい存在価値。

今回ご案内するのは、ダイニングテーブルです。
デンマークでは、ウェグナーと並び称される巨匠と呼ばれるボーエ・モーエンセンがデザインしたC18。

101225_6.jpgこのダイニングテーブルをデザインしたのは、彼が33歳の時。
現在は名作として名高いダイニングチェアJ39と合わせ、
ダイニングセット、食卓として同時に売り出された。

この年、1947年は第二次世界大戦直後の復興期であり、
デンマークでも農村から都市部へ、新たな職を求めて
大規模な人口の移動がおこり、首都コペンハーゲンでは
空前の住宅難となっていた。
より多くの人間が住めるようアパートのサイズは小さくなり、
都市型の生活スタイルに合わせ間取りも簡素化してゆく。
従来では炊事をする台所と食事をする食堂が独立した2部屋であったものが、
合体してダイニング・キッチンとなり、モダン住宅の典型的な間取りとなっていったのは
デンマークだけではない世界的な流れでもあった。

そんな、都市型の住居に住む人々をターゲットに商品デザインをした
モーエンセンは、コンパクトなダイニング・キッチンにすっきり納まることを
念頭に入れ、テーブルのサイズを当時としては小さめの140cm×90cmとした。

101225_7.jpgデザインスタイルとして、ボーエ・モーエンセンが選んだのは、シューカースタイル。
この前年1946年、コペンハーゲンでは、シェーカーデザインをテーマにした大掛かりな
家具見本市が開催されており、多くのデザイナーがインスピレーションを受けた。
ウェグナーのロッキングチェアJ16にも、シェーカーの影響を見ることが出来るし、
若きモーエンセンも、言うなれば流行のスタイルを自分なりに取り入れた、というわけである。

シェーカー家具の形態を踏襲したH型の脚部は、天板の端ではなく中央に寄ったところに
付いており、狭い空間で椅子を置いても邪魔にならず、何脚も置くことが可能である。
さらに、バリアフリーの意識されている現代においては、車椅子の納まりが思いのほか良いと、
再び人気が高くなってきているのは、さすがのボーエ・モーエンセンにも予想できなかったことであろう。

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現在、このダイニングテーブルC18と一緒に売り出された、モーエンセンの名作J39が、
家具メーカー、フレデリシアよりキャンペーンで、1月30日(日)まで、お求めやすい価格にて販売。
期間限定です。J39には、店頭にて実際に座って頂けます。
ぜひご自身で、座り心地等、お確かめください。