語り継ぎたい存在価値 Vol.4



今回は、こんな形で雑誌にも掲載されている
ハンス・J・ウェグナーの「Valet Chair」をご紹介します。


100717.3.jpg<Casa BRUTUS 2010 vol.124>



100717.4.jpg<新建築>




当時のデンマーク家具に使われた材料のなかで、
パインは大量生産家具用の安い材料としての認識が高く
「安い=品質が悪い」というイメージが出来上がっていました。

そこでウェグナーは、パインを木材として信用のおける良い材料であることを見せる為、
それをバレットチェアで証明したいと考えました。


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彼の手によってこの世に始めて誕生した最初のバレットチェアは、
脚とフレームがパイン、座と背の一部はチークでした。
こうして当時から高級なイメージのチークと合わせることで、
当時の人々のイメージを変えていこうとしたのです。


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「パインのような安い材料をチークとあわせてもったいない」という声も聞こえたそうですが、
ウェグナーは「パインのイメージを悪くしているのはそういう君たちだろう
パインは材料として何の問題もない罪のない材料だ」
と反論したそうです。


そんな、ウェグナーの思いもあって誕生したこの椅子は、
オブジェのように美しく、そして機能的でもあるのです。


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20年間ウェグナーとともに仕事をした、娘マリアンヌ・ウェグナーは
一番思い出深い椅子は、このバレットチェアだと語っています。


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