語り継ぎたい存在価値 Vol.1


こんにちは。西野です。
今回から、新しく「語り継ぎたい存在価値」という名前で、
色々な家具などのデザインが生まれた背景、
知られざるエピソード、有名な話も混ぜながら、ご紹介していきます。


1回目は、Bo STYLEの店内でもお座りいただけるPP58とPP68についてのお話を。
こちらは、ハンス・J・ウェグナーのデザインです。
PP58が写真左側で、座面が革か布貼り。PP68は右側で、座面はペーパーコードです。


100325_3.jpg

80年代、ハンス・J・ウェグナーとPPモブラー社のアイナー・ピーターセンは、
ウェグナーのフィロソフィーとPPモブラーのクオリティを併せ持ち、
且つコストパフォーマンスに配慮した椅子を造り出そうと語り合っていた。
“すわり心地”を最大のテーマにしているウェグナーは、
アイナー・ピーターセンとの話し合いの中で、
“いろいろなスタイルで座れる椅子をデザインしてみよう”という結論に達し、
1987年に完成されたのがPP58とPP68である。

浅く掛けてリラックスした状態で座ったり、
また深く腰掛けてせもたれよりヒップ部分が突き出てフィットしたりと、
まさに使い方に広がりのある椅子。

後脚2本だけで肘掛けの機能を持つ笠木を支える構造は
それまでのウェグナーの代表作にも多く見られるが、
製作にはコストと職人達の腕が必要である。

この作品は1本の木材を蒸気熱で蒸して曲げることに成功し、
コストの大幅な節約につながっている。
椅子造りには、職人の腕が大変重要な部分を占める。
PPモブラー社は、近々定年を迎える熟練した職人と
若い職人とが入り交じる過渡期に入っている。


100325_1.jpg

このシンプルなデザインの椅子の製作をすることにより、
若い職人の腕が磨かれ、熟練した職人の技術を
しっかりと受け継いで、同社は世代交代にも成功している。
PPモブラー社の作品の中でも、大切な脇役として長く受け継がれていくことだろう。


100325_2.jpg

Bo STYLEの店内では、PPモブラー社の椅子にお座りいただけます。
PPモブラー社は、デンマークのみならず、
世界中から”熟練の名工集団”として注目されています。
魂のこもった家具づくりを感じてください。

100417_1.jpg